「ティ」は「ti」か「tei`」か

(2019/03/21)

 いはゆる訓令式(訓令第一表)では、「ti」は「チ」と読むことになってゐます。ただ、「ti」を「ティ」と読むことを禁じてはをらず、文脈に応じて読み分けることになります。一方、ヘボン式では、訓令第二表の「chi」を「チ」のつづりとして定義してゐるので、訓令第一表の「ti」を「ティ」専用のつづりとして利用できます。
 と言っても、NQ式ローマ字*1ヘボン式を基底としながらも、訓令第一表を否定してゐないので、「ti」を「チ」に割り当てる場合は、「ティ」との混同を避けるために、「tei`」を使用して、片仮名で「ティ」と表記することを明示する必要があります。

特集「ローマ字の分かち書き」: 助動詞「ぬ」

(2019/02/09)

  • 分かち書き
    • (1) 原則として、辞書の見出し語は分かち書きの独立した単位とする
    • (2) ただし、接頭辞、接尾辞は分かち書きしない
    • (3) 活用語の見出し語以外の形に接続する助動詞、助詞は分離しない
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする。
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分離する。
    • (3) 助動詞「ます」は主観的表現にも関はらずつづりが長くなるのでハイフンを前置する

なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。

 まづ、辞書引きのために単語に分割します。

なぜ/そんな/無闇/を/し/た/と/聞く/人/が/ある/か/も/知れ/ぬ/。

 「知れ/ぬ」の「知れ」は、可能動詞「知れる」の未然形です。助動詞「ぬ」は名詞に接続しません。したがって、「知れぬ」は分かち書きしません。「し/た」も、動詞連用形と助動詞の組み合はせなので、分かち書きしません。「か/も」は「かも」といふ独立した助詞ですが、語源的に「か」「も」と容易に分解できるので分かち書きの対象にします。

なぜ/そんな/無闇/を/した/と/聞く/人/が/ある/か/も/知れぬ/。

 ローマ字文では次のやうになります。

  • Naze sonna Muyami wo shita to kiku hito ga aru ka mo shirenu.

「ヌァ」は「nwa」か「nua`」か

(2019/03/04)

 「ヌァ」といふ特殊音を「nwa」と定義してしまふと、訓令定義と矛盾する読みがでてきます。例へば、「緩和」ですが、訓令定義では「kanwa」とつづります。訓令定義には「nwa」を「ヌァ」と読むことが想定されてゐないので、「kan'wa」のやうにアポストロフィーを入れる必要もありません。
 『NQ式ローマ字*1』だと「kanqwa」と書けば問題は解決しますが、敢へて訓令定義に抵触してまで「nwa」を定義するほど「ヌァ」は必要不可欠な特殊音ではありません。NQ式にある小書き仮名(捨て仮名)の翻字定義を利用して、「nua`」としておく方が無用な混乱を避けられます。NQ式では、「nwa」を紹介してゐますが、使用はお勧めしません。

特集「ローマ字の分かち書き」: 助動詞「た」

(2019/02/09)

  • 分かち書き
    • (1) 原則として、辞書の見出し語は分かち書きの独立した単位とする
    • (2) ただし、接頭辞、接尾辞は分かち書きしない
    • (3) 活用語の見出し語以外の形に接続する助動詞、助詞は分離しない
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする。
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分離する。
    • (3) 助動詞「ます」は主観的表現にも関はらずつづりが長くなるのでハイフンを前置する

小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。

 まづ、辞書引きのために単語に分割します。

小学校/に/居る/時分/学校/の/二階/から/飛び降り/て/一週間/ほど/腰/を/抜かし/た/事/が/ある/。

 「抜かし」は「抜かす」の連用形です。その直後に来る「た」は過去の助動詞で、名詞には接続しません。したがって、「抜かした」は分かち書きをしません。「飛び降り/て」も接続助詞が付いてゐることから、分かち書きをしません。「小学校」「一週間」は3文字以上の漢字熟語なので、「小-学校」「一-週間」と分割します。

小-学校/に/居る/時分/学校/の/二階/から/飛び降りて/一-週間/ほど/腰/を/抜かした/事/が/ある/。

 ローマ字文では次のやうになります。

  • Shou-Gakkou ni iru Jibun Gakkou no Nikai kara tobiorite Iq-Shuukan hodo koshi wo nukashita koto ga aru.

「ローマ」は「Rohma」か「Rooma」か

(2019/03/03)

  「ローマ」は『NQ式ローマ字*1』では「Rohma」で、『ヱピモセズ・ブログ*2』では「Rooma」にしてゐます。翻字を優先すれば、「大戸」は「ooto」、「王都」は「outo」、「オート」は「ohto」となります。「ohto」のやうに、「h」の後ろに、「h」以外の子音字が来れば、運用上問題はないのですが、母音字か半母音字か「h」が来ると、運用が複雑になってきて、一部訓令定義と矛盾する読みが出てきます。したがって、『ヱピモセズ・ブログ』では、「オート」も一旦「オオト」とみなして「ooto」とつづるやうにしてゐます。
 『ヱピモセズ・ブログ』では、「押印」を「ôin」ではなく「ouin」、「音韻」を「on'in」ではなく「onqin」とつづる表記を定着させることを目指してをり、それ以外のことは余り盛り込みたくないからです。これは、「ô」や「n'i」のやうなつづりは、横着者が間に入ると「o」や「ni」に掏り替へられるからです。そして、その横着者の代表例が外務省です。
 そこに「h」を組み込むと『NQ式ローマ字』は複雑すぎるといふ印象を与へるからです。例へば、「ノーワン」といふ外来語があります。「ノオワン」に変換してつづると「noowan」であり問題が発生しませが、「ー」をそのまま翻字すると「nohwan」となり、「hwa」は「ファ」や「ホァ」のやうに読まれる可能性があるので、声門閉鎖「q」を挿入して「nohqwan」とする必要があります。
 次に「コーヒー」の場合は、「コオヒイ」であれば、「koohii」で迷ひませんが、「kohhih」とつづると、「hh」の部分は訓令定義では促音となり「コッヒー」と読まれてしまひます。それを避けるために「h」の前の促音だけは、促音専用の「q」を使用して「koqhii」とつづる規則を覚える必要があります。この規則で「コーヒー」が「kohhih」になり、「コッヒー」が「koqhih」となり、両者が混乱なく使ひ分けられます。

特集「ローマ字の分かち書き」: 接続助詞「て」

(2019/02/09)

  • 分かち書き
    • (1) 原則として、辞書の見出し語は分かち書きの独立した単位とする
    • (2) ただし、接頭辞、接尾辞は分かち書きしない
    • (3) 活用語の見出し語以外の形に接続する助動詞、助詞は分離しない
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする。
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分離する。
    • (3) 助動詞「ます」は主観的表現にも関はらずつづりが長くなるのでハイフンを前置する

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。

 まづ、辞書引きのために単語に分割します。

親譲り/の/無鉄砲/で/小供/の/時/から/損/ばかり/し/て/いる/。

 この中で、辞書の見出し語でないものは「し」です。これは動詞「する」の連用形です。その次にくる「て」は接続助詞で、名詞に続くことはありません。したがって、「して」は分かち書きをしません。「無鉄砲」といふ漢字熟語は3文字以上なので、結びつきの弱い場所でハイフンを入れます。「無-鉄砲」となります。

親譲り/の/無-鉄砲/で/小供/の/時/から/損/ばかり/して/いる/。

 ローマ字文では次のやうになります。

  • Oyayuzuri no Mu-Teppou de kodomo no toki kara Son bakari shite iru.

「アッー」は確かに音声上も「aqh」かも知れない

(2019/03/03)

 ネットスラングで「アッー」といふ擬音語があります。しかし、促音の長音といふのはどう読むか見当もつきません。先日、発表した『NQ式ローマ字*1』では、翻字により「aqh」とつづることが出来ます。
 ローマ字では以前から単独の撥音「ン」、促音「ッ」、長音「-」はどうつづるのかといふ難問がありました。これらの三音のうち、実際に単独で発音できるのは「ン」だけで、それ以外は他の音に付随したものです。したがって訓令定義でも「ン」以外は決められてゐません。
 撥音といふのは汎用的な鼻音で、後続の子音により舌の位置を変へます。促音といふのは、汎用的な待機音であり、後続の子音により舌の位置を変へ、場合によっては、途中で息が漏れて摩擦音になります。長音といふのは、汎用的な継続音であり、前出の母音を継続させます。
 舌の位置に依存しない汎用的な待機といへば、息を殺したときの声門閉鎖音になります。一方、前の母音に依存しない汎用的な継続といへば、息を吐くときの無声の声門摩擦音「ハーーー」となります。促音を「q」で表し、長音を「h」で表すのは、適当に決めた訳でなく、音声学的な背景もあります。
 さう考へると「アッー」といふのは、「ッ」で喉を緊張させて息を止め、「ー」で緊張を解き、息を漏らすことから、翻字だけでなく、音声上も「aqh」で正しいのかも知れません。