正仮名遣ひをローマ字で表現すべきか

(2018/08/11)

 いきなり正仮名遣ひの話になりますが、別にローマ字で正仮名遣ひを表現することを主体に考へてゐたわけでなく、やはり仕組みだけは作っておかうといふことにしました。「ハ行転呼音」「四つ仮名」「開口音、合口音」、「合拗音」とか区別すべき音はいろいろあるのですが、これらは全て字上符等の記号類で区別することにしました。
 ローマ字の拡張案を作る人は、表記に敏感な人が多く、最終段階で正仮名遣ひもローマ字の拡張部分に組み込みたくなるものです。その場合、新たなスペリングを導入してしまふとやはり警戒されるものです。したがって、無視しても差し支へのない記号類に留めておくべきと判断しました。詳細な仕組みは次のリンク先に紹介してゐます。

 ただ、実際に実践するとなると、漢字仮名交じり文と違ひ、字音の部分を漢字で隠すことはできないので、相当の手間がかかります。字音仮名遣ひとの格闘も必要です。いくつかは作成しましたが、苦労の割りには作業が進まず、継続も困難ですし、しかも、記号類であっても、読者に多少は警戒感を与へるので、正式なローマ字ブログの本体には書かず、SEO対策用のローマ字ブログに移しました。

ローマ字書写宣言から2ヶ月

(2018/08/11)

 ローマ字書写宣言から約2ヶ月たちまたした。法律条文の書き写しは非常に有効な手段で、著作権を気にせず、実質無尽蔵のコンテンツを手に入れたわけです。正直なところ、ローマ字でオリジナルの文章を書くのは苦痛です。どんなに内容を頑張っても検索エンジンで訪れる一見さんは期待できません。であれば、ローマ字文の実践は書写で済ませないとブログを長期的に継続できません。

 実際、昨年12月に始めたローマ字ブログは、毎日更新が目標で、理論を整理したあと、時事問題を扱ふ予定でしたが、理論が一通り整理できても、訪れる読者数はほとんどないに等しく、あとの更新が苦痛になって、3月から5月までの3ヶ月間、放置状態でした。ところが、法律条文といふ無尽蔵のコンテンツを手に入れてから、ブログ放置の懸念がなくなったので、改めてローマ字の理論を掘り下げる気力が湧いてきて、ブログも充実してきました。といっても読者数が増えることはありません。ただ、読者数が増えなくても、書写ならモチベーションを維持できると判断できたからです。
 ここで次回から「実践なくして批評なし」の批評を始めて、思ふところを記事にしたいと思ひます。

ローマ字の「Ô」「ô」と「OO」が普及しない理由

 訓令式では、長音を表現するときは、「Ô」「ô」で表し、それが困難な場合は、大文字に限り、「OO」を認めるとあります。「Ô」「ô」が普及しない理由は割りと単純で、要するに入力が難しいこと、苦労して入力してもファイルに保存したり、メールで送ったりしたら、かなりの確率で文字化けを起こすことが原因でせう。
 HTMLの世界では、「Ô」「ô」で表示できるし、とりあへず、仮表示したものを、コピペで使ひ回せば、何とかなりますが、面倒であるのは確かです。他に「O^」「o^」とか代理表記も提案されてゐますが、いかにも格好悪いので、それなら、誤読の可能性が高くても「O」「o」で済ませたくなるものです。
 次に「OO」ですが、これは訓令式でも認められてゐるので、引け目を感じずに、使へます。「oo」のやうな小文字の連続は認められてゐないといっても、その程度の違ひであれば、あまり、引け目を感じないでせう。しかし、「Toukyou」と書く人はゐても、「Tookyoo」と書く人は皆無ではないものの、かなり限られます。
 すばり「oo」と書くことは現代仮名遣ひの否定だからでせう。もともと、ローマ字運動は正仮名遣ひの否定も目的の一つです。正仮名遣ひには、「あう」「あふ」「えう」「えふ」「おう」「おふ」「おほ」「おを」と書いて「オー」と読む長音があります。現代仮名遣ひでは、二拍目が「う」「ふ」のものだけを「おう」に統一しました。二拍目が「ほ」「を」のものは「おお」にしました。これは、正仮名遣ひの慣例を無視できず、「う」「ふ」と書かれた仮名を「お」にすることに抵抗があったからです。一方、ローマ字はそれをさらに進めて全てを「おー」に統一しようといふことです。そこまでは受け入れられても、代理表記で「おお」にすることは、慣例無視で受け入れられるはずはありません。
 上記のやうな大きな流れを差し置いても、個々人のレベルでも、小学校一年生の作文で「おとおさんは、おうきい」と書いて減点され、苦労して「おお」と「おう」の使ひ分けを覚えたのに、今さらローマ字で「オトオサン ワ オオキイ」なんて幼稚な仮名遣ひはできないといふことなのでせう。ローマ字運動の主流派が「OU」という綴りを認めない限りローマ字が広まることはないでせうね。それなのに、翻字を採用した99式でさへ快く受け入れられない有様です。
 参考までに東京はメジャーな地名なので、「Tokyo」が圧倒してゐますが、東北の場合、グーグルで「Tôhoku」「Tōhoku」「Tohoku」「Touhoku」「Toohoku」を引用符付きで検索したところ、それぞれ、158件、209件、225件、240件、137件となり、「Touhoku」が僅差でトップ、「Toohoku」は最少数派となります。「OU」という綴りを認めれば「Touhoku」が圧倒的に主流になるでせうね。

月刊ローマ字ブログ 2018/07/01-2018/07/31

「高藤」さんの読み方

 やはり外務省も長音を全く理解してゐないやうです。

末尾が「オオ」音で、ヨミカタが「オ」の場合(「OO」と表記します。)
例:妹尾(セノオ)SENOO、高藤(タカトオ)TAKATOO、横尾(ヨコオ)YOKOO
末尾が「オウ」音で、ヨミカタが「ウ」の場合(「OU」とは表記しません。)
例:伊藤(イトウ)ITO、高藤(タカトウ)TAKATO、御園生(ミソノウ)MISONO

 高藤(タカトオ)、高藤(タカトウ)ってありますが、前者は高遠(タカトオ)の誤植では?たとへ、誤植を直したとしても、両者は同じ「タカトー」なので、パスポートでは「TAKATO」になるのでは?「遠」が末尾に来たときだけ「トー」から「ト・オ」に変はるなんて学説を聞いたことはありません。結局、ローマ字を複雑にしてゐるのは、誰にも定義できない長音を、あたかも共通認識のやうに定義してゐるからでは?
 「純一」を「JUNICHI」とするのはまだ許せるわけですよ。日本語として、「N'I」と「NI」の違ひは文脈で判断できます。ところが、「オーノ」と「オノ」の人名なんて、同じ文脈で出てくるわけで、これを区別する方法がなければ、欠陥文字なわけです。
 訓令式ヘボン式の違ひなんて枝葉末節で、ローマ字問題の本質は、長音を英字26文字の範囲内で扱ふ共通規則を誰も作らうとしないことなんです。ISO 3602*1 で、長音の定義を厳密に決めたといってゐますが、そもそも、その長音の共通認識が、ローマ字以前に仮名文字にもないわけですよ。厳密にいふと正仮名遣ひを整理して、現代仮名遣ひを決めた時点では、共通認識が多少持てたのですが、現代仮名遣ひが定着してしまふと、「王」を「オー」と読まうが「オ・ウ」と読まうが通じてしまふので、「オウ」が長音である認識が薄れてゐるわけです。正仮名遣ひだと「ワウ」なので、「ワ・ウ」ぢゃ通じないから、長音「オー」といふ共通認識ができたわけです。
 そこまで教育して、しかも「Ô」がパソコンで簡単に入力できて初めて ISO 3602 が使へるわけです。一般人が簡単に運用できない規格を作ってゐながら、一般人が間違った使ひ方をすると、あなたのローマ字は間違ってゐますでは、誰も使ひたくなくなります。
 そもそも仮名文字を一文字づつ翻字すれば解決した問題*2なのに、なぜ、ローマ字に長音の概念を持ち込んだでせうね。

「日本式」の読み方

 「日本」は「ニッポン」と読まうが「ニホン」と読まうがどちらでもいいのですが、中にはその道で権威のある方が読んだことで読み方が確定する場合があります。「日本式ローマ字」はどうやら、田中舘先生が、「ニッポンシキ」と読んだので、「ニッポンシキローマジ」と読むらしいです。

 参考までに、日本国憲法も昭和の天皇陛下が「ニッポンコク」と読んだので、「ニッポンコクケンポウ」と読むのが優勢らしいです。

月刊ローマ字ブログ 2018/06/01-2018/06/30