特集「ワープロ式ローマ字」: 長音

(2019/05/02)

 訓令定義では長音を「ô」のやうに表記しますが、JIS X 4063 では仮名に従ふので「ou」「oo」「o-」のいづれかを選ぶことになります。

オウト 王都 ôto outo
オオト 大戸 ôto ooto
オート オート ôto o-to

 この中で「o-to」に含まれる長音符号は、可視化した場合、ハイフンと区別がつかないので、前の母音字を重ねて「ooto」とつづるか、「h」を長音符号とみなして「ohto」とつづります。ただし、「h」を長音符号と見なすと、「ohho」「oho」の読み方で訓令定義と異なるものが出てくるので慎重な運用が必要です。詳細はNQ式ローマ字*1を参照してください。

特集「ローマ字の分かち書き」: 実例8

(2019/07/06)

  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

この外いたずらは大分やった。大工の兼公と肴屋の角をつれて、茂作の人参畠をあらした事がある。人参の芽が出揃わぬ処へ藁が一面に敷いてあったから、その上で三人が半日相撲をとりつづけに取ったら、人参がみんな踏みつぶされてしまった。古川の持っている田圃の井戸を埋めて尻を持ち込まれた事もある。

 (1) の「文頭」を当てはます。

この/外/いたずらは/大分/やった。大工の/兼公と/肴屋の/角を/つれて、茂作の/人参畠を/あらした/事が/ある。人参の/芽が/出揃わぬ/処へ/藁が/一面に/敷いて/あったから、その/上で/三人が/半日/相撲を/とりつづけに/取ったら、人参が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川の/持って/いる/田圃の/井戸を/埋めて/尻を/持ち込まれた/事も/ある。

 (1) の「文末」を当てはめます。

この/外/いたずらは/大分/やった。大工の/兼公と/肴屋の/角を/つれて、茂作の/人参畠を/あらした/事が/ある。人参の/芽が/出揃わぬ/処へ/藁が/一面に/敷いて/あった/から、その/上で/三人が/半日/相撲を/とりつづけに/取ったら、人参が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川の/持って/いる/田圃の/井戸を/埋めて/尻を/持ち込まれた/事も/ある。

 (2) の「です」を当てはめます。

この/外/いたずら/は/大分/やった。大工/の/兼公/と/肴屋/の/角/を/つれて、茂作/の/人参畠/を/あらした/事/が/ある。人参/の/芽/が/出揃わぬ/処/へ/藁/が/一面/に/敷いて/あった/から、その/上/で/三人/が/半日/相撲/を/とりつづけに/取ったら、人参/が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川/の/持って/いる/田圃/の/井戸/を/埋めて/尻/を/持ち込まれた/事/も/ある。

(3) を当てはめると、「とりつづけに」の「に」は、「(それ)に」と言へるので、切り離します。

この/外/いたずら/は/大分/やった。大工/の/兼公/と/肴屋/の/角/を/つれて、茂作/の/人参畠/を/あらした/事/が/ある。人参/の/芽/が/出揃わぬ/処/へ/藁/が/一面/に/敷いて/あった/から、その/上/で/三人/が/半日/相撲/を/とりつづけ/に/取ったら、人参/が/みんな/踏みつぶされて/しまった。古川/の/持って/いる/田圃/の/井戸/を/埋めて/尻/を/持ち込まれた/事/も/ある。

 ハイフンを付けるとすれば、「肴-屋」「人参-畠」「三-人」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Kono hoka itazura wa Daibun yatta. Daiku no Kanekou to sakana-ya no Kaku wo tsurete, Mosaku no Ninjin-batake wo arashita koto ga aru. Ninjin no me ga desorowanu tokoro e wara ga Ichimen ni shiite atta kara, sono ue de San-nin ga Hannichi sumou wo toritsuzuke ni tottara, Ninjin ga minna fumitsubusarete shimatta. Furukawa no motte iru tanbo no ido wo umete shiri wo mochikomareta koto mo aru.

特集「ワープロ式ローマ字」: 促音

(2019/05/02)

 訓令定義も JIS X 4063 も促音は直後の子音字を重ねることで表します。ところが、感嘆語や擬態語で語末に促音が来る場合があります。その場合「xtu」では不自然なので、「q」を使います。逆に「q」を単独の促音と見なせば、語末にこだはらず、語中でも「q」を使ふ方が便利です。その方が、同じ意味の言葉が同じつづりになります。下の例では、「ik is it ip」とつづる部分が「iq」に統一できます。

イッカイ 一回 ikkai iqkai
イッサイ 一切 issai iqsai
イッタイ 一体 ittai iqtai
イッパイ 一杯 ippai iqpai

 なほ、「イッチ」の場合、ワープロ日本式では「itti」「iqti」、ワープロヘボン式では「icchi」「iqchi」ですが、慣例上「itchi」のやうに「tc」の「t」の部分を促音と見なすこともできます。

特集「ローマ字の分かち書き」: 実例7

(2019/05/18)

  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

痛かったから勘太郎を垣根へ押しつけておいて、足搦をかけて向うへ倒してやった。山城屋の地面は菜園より六尺がた低い。勘太郎は四つ目垣を半分崩して、自分の領分へ真逆様に落ちて、ぐうと云った。勘太郎が落ちるときに、おれの袷の片袖がもげて、急に手が自由になった。その晩母が山城屋に詫びに行ったついでに袷の片袖も取り返して来た。

 (1) の「文頭」を当てはます。

痛かったから/勘太郎を/垣根へ/押しつけて/おいて、足搦を/かけて/向うへ/倒して/やった。山城屋の/地面は/菜園より/六尺がた/低い。勘太郎は/四つ目垣を/半分/崩して、自分の/領分へ/真逆様に/落ちて、ぐうと/云った。勘太郎が/落ちる/ときに、おれの/袷の/片袖が/もげて、急に/手が/自由に/なった。その/晩/母が/山城屋に/詫びに/行った/ついでに/袷の/片袖も/取り返して/来た。

 (1) の「文末」を当てはめます。

痛かった/から/勘太郎を/垣根へ/押しつけて/おいて、足搦を/かけて/向うへ/倒して/やった。山城屋の/地面は/菜園より/六尺がた/低い。勘太郎は/四つ目垣を/半分/崩して、自分の/領分へ/真逆様に/落ちて、ぐうと/云った。勘太郎が/落ちる/ときに、おれの/袷の/片袖が/もげて、急に/手が/自由に/なった。その/晩/母が/山城屋に/詫びに/行った/ついでに/袷の/片袖も/取り返して/来た。

 (2) の「です」を当てはめます。

痛かった/から/勘太郎/を/垣根/へ/押しつけて/おいて、足搦/を/かけて/向う/へ/倒して/やった。山城屋/の/地面/は/菜園/より/六尺がた/低い。勘太郎/は/四つ目垣/を/半分/崩して、自分/の/領分/へ/真逆様/に/落ちて、ぐうと/云った。勘太郎/が/落ちる/とき/に、おれ/の/袷/の/片袖/が/もげて、急/に/手/が/自由/に/なった。その/晩/母/が/山城屋/に/詫び/に/行った/ついで/に/袷/の/片袖/も/取り返して/来た。

(3) を当てはめると、「ぐうと」の「と」は、「(それ)と」と言へるので、切り離します。

痛かった/から/勘太郎/を/垣根/へ/押しつけて/おいて、足搦/を/かけて/向う/へ/倒して/やった。山城屋/の/地面/は/菜園/より/六尺がた/低い。勘太郎/は/四つ目垣/を/半分/崩して、自分/の/領分/へ/真逆様/に/落ちて、ぐう/と/云った。勘太郎/が/落ちる/とき/に、おれ/の/袷/の/片袖/が/もげて、急/に/手/が/自由/に/なった。その/晩/母/が/山城屋/に/詫び/に/行った/ついで/に/袷/の/片袖/も/取り返して/来た。

 ハイフンを付けるとすれば、「山城-屋」「六尺-がた」「四つ目-垣」「真-逆様」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Itakatta kara Kantarou wo kakine e oshitsukete oite, ashigara wo kakete mukou e taoshite yatta. Yamashiro-ya no Jimen wa Saien yori Rokushaku-gata hikui. Kantarou wa yotsume-gaki wo Hanbun kuzushite, Jibun no Ryoubun e maq-sakasama ni ochite, guu to itta. Kantarou ga ochiru toki ni, ore no awase no katasode ga mogete, Kyuu ni te ga Jiyuu ni natta. Sono Ban haha ga Yamashiro-ya ni wabi ni itta tsuide ni awase no katasode mo torikaeshite kita.

特集「ワープロ式ローマ字」: 撥音

(2019/05/02)

 JIS X 4063 には、撥音用に「n, n', nn」が定められゐます。この中で訓令定義に含まれるのは「n, n'」で、「nn」は、訓令定義に含まれず、矛盾するつづりになります。例へば、「zennin」ですが、訓令定義では「ゼンニン」と読むのに比べて、JIS X 4063 では「ゼンイン」となってしまひます。
 したがって、可視化を目指すワープロ式ローマ字では「nn」は使ひません。「n, n'」だけです。また、JIS X 4063 で選択実装扱いになってゐる「m」の撥音表記ですが、英国の修正ヘボン式規格*1でも、撥音を「n」に統一してゐるので、ワープロ式ローマ字でも「n」に統一するのが主流です。
 「n'」の「'」を避けたい場合は、代はりに「q」を使用して、「nq」とします。例へば、「ゼンイン」は「zenqin」となります。

特集「ローマ字の分かち書き」: 実例6

(2019/05/18)

  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

その時勘太郎は逃げ路を失って、一生懸命に飛びかかってきた。向うは二つばかり年上である。弱虫だが力は強い。鉢の開いた頭を、こっちの胸へ宛ててぐいぐい押した拍子に、勘太郎の頭がすべって、おれの袷の袖の中にはいった。邪魔になって手が使えぬから、無暗に手を振ったら、袖の中にある勘太郎の頭が、右左へぐらぐら靡いた。しまいに苦しがって袖の中から、おれの二の腕へ食い付いた。

 (1) の「文頭」を当てはます。

その/時/勘太郎は/逃げ路を/失って、一生懸命に/飛びかかって/きた。向うは/二つばかり/年上で/ある。弱虫だが/力は/強い。鉢の/開いた/頭を、こっちの/胸へ/宛てて/ぐいぐい/押した/拍子に、勘太郎の/頭が/すべって、おれの/袷の/袖の/中に/はいった。邪魔に/なって/手が/使えぬから、無暗に/手を/振ったら、袖の/中に/ある/勘太郎の/頭が、右左へ/ぐらぐら/靡いた。しまいに/苦しがって/袖の/中から、おれの/二の腕へ/食い付いた。

 (1) の「文末」を当てはめます。

その/時/勘太郎は/逃げ路を/失って、一生懸命に/飛びかかって/きた。向うは/二つばかり/年上で/ある。弱虫だ/が/力は/強い。鉢の/開いた/頭を、こっちの/胸へ/宛てて/ぐいぐい/押した/拍子に、勘太郎の/頭が/すべって、おれの/袷の/袖の/中に/はいった。邪魔に/なって/手が/使えぬ/から、無暗に/手を/振ったら、袖の/中に/ある/勘太郎の/頭が、右左へ/ぐらぐら/靡いた。しまいに/苦しがって/袖の/中から、おれの/二の腕へ/食い付いた。

 (2) の「です」を当てはめます。

その/時/勘太郎/は/逃げ路/を/失って、一生懸命/に/飛びかかって/きた。向う/は/二つ/ばかり/年上/で/ある。弱虫/だ/が/力/は/強い。鉢/の/開いた/頭/を、こっち/の/胸/へ/宛てて/ぐいぐい/押した/拍子/に、勘太郎/の/頭が/すべって、おれ/の/袷/の/袖/の/中/に/はいった。邪魔/に/なって/手/が/使えぬ/から、無暗/に/手/を/振ったら、袖/の/中/に/ある/勘太郎/の/頭が、右左/へ/ぐらぐら/靡いた。しまい/に/苦しがって/袖/の/中/から、おれ/の/二の腕/へ/食い付いた。

(3) に当てはまるものはありません。
 ハイフンを付けるとすれば、「一生-懸命」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Sono toki Kantarou wa nigemichi wo ushinatte, Isshou-Kenmei ni tobikakatte kita. Mukou wa futatsu bakari toshiue de aru. Yowamushi da ga chikara wa tsuyoi. Hachi no hiraita atama wo, kotchi no mune e atete guigui oshita Hyoushi ni, Kantarou no atama ga subette, ore no awase no sode no naka ni haitta. Jama ni natte te ga tsukaenu kara, Muyami ni te wo futtara, sode no naka ni aru Kantarou no atama ga, migihidari e guragura nabiita. Shimai ni kurushigatte sode no naka kara, ora no ninoude e kuitsuita.

特集「ワープロ式ローマ字」: 合拗音

(2019/05/02)

 訓令第二表には、合拗音「クヮ グヮ」をつづるために「kwa gwa」が定められてゐます。しかしながら「kwa gwa」は使用頻度の点から「クァ グァ」に優先的に割り当てます。「クヮ グヮ」を表すには、「kwa gwa」もしくは「kuwa guwa」を使ひます。それぞれ「クァ グァ」「クワ グワ」との区別は文脈で推し量ります。

kwa kuwa gwa guwa
優先 クァ クワ グァ グワ
文脈 クヮ クヮ グヮ グヮ