特集「ローマ字の分かち書き」: 実例10

(2019/07/06)

  • 分かち書き
    • (1) 文頭に置ける言葉は空白を前に置き、文末に置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (2) 「です」を後ろに置ける言葉は空白を後ろに置く
    • (3) 「それ」を前に置ける助詞は空白を前に置く
  • ハイフン
    • (1) 三文字以上の漢字熟語は、結びつきの弱い箇所にハイフンを入れ、再帰的に二文字以下の読みにする
    • (2) 接頭辞、接尾辞はハイフンで分ける
    • (3) 助動詞「ます」はつづりが長くなるのでハイフンを前に置く

おやじはちっともおれを可愛がってくれなかった。母は兄ばかり贔屓にしていた。この兄はやに色が白くって、芝居の真似をして女形になるのが好きだった。おれを見る度にこいつはどうせ碌なものにはならないと、おやじが云った。乱暴で乱暴で行く先が案じられると母が云った。なるほど碌なものにはならない。ご覧の通りの始末である。行く先が案じられたのも無理はない。ただ懲役に行かないで生きているばかりである。

 (1) の「文頭」を当てはます。

おやじは/ちっとも/おれを/可愛がって/くれなかった。母は/兄ばかり/贔屓に/して/いた。この/兄は/やに/色が/白くって、芝居の/真似を/して/女形に/なるのが/好きだった。おれを/見る/度に/こいつは/どうせ/碌な/ものには/ならないと、おやじが/云った。乱暴で/乱暴で/行く先が/案じられると/母が/云った。なるほど/碌な/ものには/ならない。ご覧の/通りの/始末で/ある。行く先が/案じられたのも/無理は/ない。ただ/懲役に/行かないで/生きて/いるばかりで/ある。

 (1) の「文末」を当てはめます。

おやじは/ちっとも/おれを/可愛がって/くれなかった。母は/兄ばかり/贔屓に/して/いた。この/兄は/やに/色が/白くって、芝居の/真似を/して/女形に/なる/のが/好きだった。おれを/見る/度に/こいつは/どうせ/碌な/ものには/ならない/と、おやじが/云った。乱暴で/乱暴で/行く先が/案じられる/と/母が/云った。なるほど/碌な/ものには/ならない。ご覧の/通りの/始末で/ある。行く先が/案じられた/のも/無理は/ない。ただ/懲役に/行かない/で/生きて/いる/ばかりで/ある。

 (2) の「です」を当てはめます。

おやじ/は/ちっとも/おれ/を/可愛がって/くれなかった。母/は/兄/ばかり/贔屓/に/して/いた。この/兄/は/やに/色/が/白くって、芝居/の/真似/を/して/女形/に/なる/の/が/好き/だった。おれ/を/見る/度/に/こいつ/は/どうせ/碌/な/もの/には/ならない/と、おやじ/が/云った。乱暴/で/乱暴/で/行く先/が/案じられる/と/母/が/云った。なる/ほど/碌/な/もの/には/ならない。ご覧/の/通り/の/始末/で/ある。行く先/が/案じられた/の/も/無理/は/ない。ただ/懲役/に/行かない/で/生きて/いる/ばかり/で/ある。

(3) に当てはまるものとして、「ちっとも」の「も」は「(それ)も」と、「やに」の「に」は「(それ)に」と、「白くって」の「って」は「(それ)って」と、「には」の「は」は「(それ)は」と、「なるほど」の「ほど」は「(それ)ほど」と言へるので、切り離します。

おやじ/は/ちっと/も/おれ/を/可愛がって/くれなかった。母/は/兄/ばかり/贔屓/に/して/いた。この/兄/は/や/に/色/が/白く/って、芝居/の/真似/を/して/女形/に/なる/の/が/好き/だった。おれ/を/見る/度/に/こいつ/は/どうせ/碌/な/もの/に/は/ならない/と、おやじ/が/云った。乱暴/で/乱暴/で/行く先/が/案じられる/と/母/が/云った。なる/ほど/碌/な/もの/に/は/ならない。ご覧/の/通り/の/始末/で/ある。行く先/が/案じられた/の/も/無理/は/ない。ただ/懲役/に/行かない/で/生きて/いる/ばかり/で/ある。

 ハイフンを付けるとすれば、「女-形」「行く-先」「案-じられる」「ご-覧」が当てはまります。
 ローマ字文では次のやうになります。

  • Oyaji wa chitto mo ore wo kawaigatte kurenakatta. Haha wa ani bakari Hiiki ni shite ita. Kono ani wa ya ni iro ga shiku tte, shibai no mane wo shite onna-gata ni naru no ga suki datta. Ore wo miru tabi ni koitsu wa douse Roku na mono ni wa naranai to oyaji ga itta. Ranbou de Ranbou de yuku-saki ga an-jirareru to haha ga itta. Naru hodo Roku na mono ni wa naranai. Go-Ran no toori no Shimatsu de aru. Yuku-saki ga an-jiarata no mo Muri wa nai. Tada Choueki ni ikanai de ikite iru bakari de aru.