特集「訓令議事録」: 1900年版羅馬字書方調査報告

移転しました。

(2019/12/15)

 1900年(明治33年)にローマ字の調査報告があったので紹介します。

假字羅馬字對照表

a i u e o
ka ki ku ke ko kya kyu kyo
ga gi gu ge go gya gyu gyo
sa si su se so sya syu syo
za ji zu ze zo ja ju jo
ta ci tsu te to ca cu co
da ji zu de do ja ju jo
na ni nu ne no nya nyu nyo
ha hi fu he ho hya hyu hyo
ba bi bu be bo bya byu byo
pa pi pu pe po pya pyu pyo
ma mi mu me mo mya myu myo
ya i yu ye yo
ra ri ru re ro rya ryu ryo
wa i u e o
(wo)

第一 直音

  • 注意
    • 凡テ假字ニ拘ラス現今ノ音ニ從テ記スコトヽス
    • ハ shi ヲ取ラス si トス
    • ジヂ、ズヅハ現今同一ニ發音セルカ故ニ同樣ニ記スコトヽス
    • ハ chi ヲ取ラス ci トス
    • ハ hu ナル能ハサルカ故ニ fu トス
    • イヰハ凡テ i ヲ以テ之ヲ記ス
    • エヱハ e トスレトモ ye ハ殘スヘキ必要アルヲ以テ之ヲ存ス
    • ハ二ツナカラ u トス
    • オヲハ通シテ o トナルてにをはノモ亦 o ヲ以テ記スコトヽス但シ語音ノ上ニハ wo トステキトコロアルヲ認ムルヲ以テ之ヲ存ス
    • 鼻音ノ ga ハ別ニ綴リ方ヲ立テス ga ヲ兩樣ニ讀マシムルコトヽス

第二 拗音

  • 注意
    • kwa kwo gwa gwo ノ音ハ標準トスヘキ語音中ニハ存在セシメスシテ可ナリト認ムルヲ以テ之ヲ存セス
    • ジャヂャ等ハ直音ノ例ニ準シテ區別セス

第三 長母音

長母音ノシルシヲ字ノ上ニ置キテ之ヲ示ス

    • byōki 病氣 hōritsu 法律

第四 促音

促音ハ子音を相竝ヘテ之ヲ示ス

    • gakkō 學校 teppō 鐵砲

第五 鼻聲音

鼻聲音ハ常ニ n ニテ終ルモノトス

    • Shinbasi 新橋 nenpō 年俸

第六 音ノ結合スル場合

(※中略)
子音ト母音ト連ナリテ相結フヘカラサル場合
コノ場合ニハ「ハイフン」ヲ用ヰルヘシ

    • gen-an 原案 gen-in 原因

(※以下略)

 この資料は1900年に調査報告された「ローマ字の書き方」を引用したものです。しかも、1954年(昭和29年)に刊行された「ローマ字問題資料集」で引用されてゐたもので、このブログでは孫引きとなります。したがって、原典の正確な再現は不可能なので、引用元の表や章立てを若干変更したり省いたものがあります。
 中略の部分は、二重母音(tsuki + ai → tsukiyai)、無声化(watakusi → wataksi) を扱ったものであり、現在では音声学で取り扱う部分であり、ローマ字のつづり方の範疇に含まれないので取り除きしました。また、以下略の部分は、句読点や分かち書きについて書かれてをり、有用な記述も多いのですが、これも、ローマ字のつづり方の範疇を越えてゐるので、取り除きました。
 次に注意が必要な行だけを抜き出します。

sa si su se so sya syu syo
za ji zu ze zo ja ju jo
ta ci tsu te to ca cu co
da ji zu de do ja ju jo
ha hi fu he ho hya hyu hyo

 サ行は日本式の考へに基づいてゐます。一方、ザ行、ダ行、ハ行は標準式(ヘボン式)の考へです。最も注意が必要なのはタ行です。「チ チャ チュ チョ」を標準式の「chi cha chu cho」でなく、「ci ca cu co」としてゐます。